【実機見学】Junkers(ユンカース) Ju87G-2「スツーカ」

航空宇宙

世界で最も有名な急降下爆撃機

第2次世界大戦は人類にありとあらゆる新たな恐怖を植え付けたが、その中でも特に多くの人間が忌み嫌う兵器の一つがこのJu87という飛行機であったと言われる。

Ju87は急降下爆撃機として地表に甚大な被害をもたらすために生産された兵器で、固定された足回り、巨大な逆ガル翼、そして「ジェリコのトランペット」と呼ばれた異常とも言える甲高い音を発する威嚇用サイレンなど、それらの全てが兵士と民間人にとって純粋な恐怖の対象となった。

基本情報

用途:急降下爆撃機
開発メーカー:ユンカース
初飛行:1935年
生産数:6500機以上(派生含む)
全長:11.5 m
翼幅:15 m
全高:3.84 m
展示場所:ロンドン・RAF博物館・ハンガー5 https://www.rafmuseum.org.uk/research/collections/junkers-ju87g-2/
展示機体備考:Reference 78/AF/657

イギリス・RAF博物館ロンドン展示機体

ドイツ語で急降下爆撃機(Sturzkampfflugzueg)に由来する「スツーカ」として広く知られるJu87が最初に活躍したのは、スペイン内戦(1936年から1939年)だった。

その後WW2が勃発。ドイツが関わるあらゆる戦線に投入された。特にポーランドとフランスでの作戦は、その伝説的な名声に拍車をかけた。また地中海では英海軍「イラストリアス」を大破させる活躍もあった。開戦当初、空からの対抗機がほとんどない中、Ju87は高い精度で目標を攻撃することができた。

フランス陥落後は、英仏海峡の船舶攻撃にも使用されJu87は史上最多の船舶を撃沈する事となる。何としてもイギリスを攻め落としたかったドイツとしては、この機体なくしてブリテン島侵攻計画はあり得なかった訳である。

しかし1940年8月頃から敵戦闘機から大きな損害を受け始め、低速で対空格闘戦能力に欠るこの機体を、制空権が無い空域での運用はほぼ不可能となった。最高速度が時速300キロ前半という、現代のススーパースポーツバイク並の速度しか出せない本機にとって、連合国の戦闘機に太刀打ちできるはずが無かったのだ。

戦争の後半では、機体を大きく改修しロシアとの戦いに投入され、戦車を相手に戦った。

本展示機は、そんな状況下でさらなる戦果を上げるために改良された「Ju 87 G-2」となる。東部戦線で地戦車攻撃機として設計され、主翼下に37mmという強大なガンポッドを懸架し敵戦車を蹴散らすという大胆な構成となっている。東部戦線ではクルクスの戦いなどに投入された。

エンジンは「ユンカース・ユモ211」を採用。液冷倒立V型12気筒エンジンとなっている。

地上にて機体正面を見た場合、このように巨大な足回りもあってコックピットは全く見えず、頑丈そうで威圧的な逆ガル翼をはっきり見て取る事が出来る。翼面積が巨大なこともあり、航続距離は長いと思いきや、重い機体だったので行動半径は短かった。

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