時は2012年7月。
宇宙兄弟を始めとする宇宙ネタの露出がメディアにて徐々に増えだした頃、にわかに種子島にて実際にロケットの打ち上げを見学する計画が浮上した。
当時既にTwitterなどでの情報収集がかなり効率化してきており、様々な情報を精査すると
・レンタカー ※これが一番重要 ・宿 ・飛行機
の3点さえ抑える事が出来れば特に難しくないという事が判明。そして首尾よくレンタカーを予約することが出来たので、夏のちょうど良いタイミングという事もあり初めての種子島遠征を敢行した。
今回はその際に記した日記と撮影した記録映像を元に、当時の様子を振り返りたいと思う。
2012年7月18日水曜日
羽田空港からソラシドエアを利用して、鹿児島空港に向かう。初めて乗るソラシドエアとなった。
荷物もデイパックと登山用90Lザックというバックパッカースタイル。
鹿児島空港到着時は晴天で、鹿児島ご当地ファミレスである「山形屋」にてビーフカレー790円を食す。空港内レストランにも関わらず、灰皿が堂々と置かれているのに時代を感じる。
かなりがらんとした雰囲気の鹿児島空港。夏とはいえ、平日の地方空港はこんなものだろう。
航空模型好きにはたまらない空港
当時(今もあるか?)鹿児島空港では最上階に飛行機模型展示コーナーがあり、そこそこ見応えある展示がされていた。中には「スペースシップワン」などもあり、徐々に打ち上げに対するボルテージが上がっていったのを記憶している。
「SORA STAGE」については展示内容が良かったので別ページにて詳細を記載している。
→https://moeginews.com/?p=2495
どことなく地方の市役所や県立病院を彷彿とさせる雰囲気の鹿児島空港。ベンチの椅子だけは質が良い。
なお鹿児島空港、ロビーを出た先に天然温泉の足湯がある。
フェリーに乗る
その後、いざ市内へと向かう。鹿児島空港から鹿児島中心部の天文館辺りまでバスで50分と、そこそこ時間がかかる。
明治レトロな建築物「教育会館」がある中央公園をかるく散歩。「ま四角三つ(堀内正和 作)」という幾何学的なチタンの巨大モニュメントが目を引く。
近隣には西郷隆盛像もあり、南国感を感じる。
天文館からは電車に乗り、南鹿児島駅経由で坂之上駅まで向かう。「はいびすかす」フェリー乗り場へ向かうためだ。鹿児島市電も鮮やかな色合で目立つ。
しかしこれが大失敗で、駅から徒歩でフェリーの船着場まで向かったのだが、想像以上に距離があり、かといってバスなどに乗ると余計高く付くというなんら旨みのないルートであった。バイクなどフェリーでしか運べない物が有るなら別だが、種子島へ行く際には基本的にこのルートを使う必要は全くないと結論付ける事ができる。
歩道もまともに無いようなトラックロードをひたすら歩く。夏の時期は特につらい。
そしてやっとの思いで港にたどり着くと、コンテナ小屋の事務所にてチケットを購入。あとはひたすら出航を待つ。いくら時間が無限にあったとは言え、この時間は結構無駄だったと振り返ると感じる。
・「はいびすかす」鹿児島(谷山港)→種子島(西之表港) 片道 学生 2400円(2012/7/18日当時)
大量の物資を搬入し、その隙間に人間が入り込むというノリでフェリーに乗船する。
タコ部屋にて横になる事は可能だが、すこぶる居心地は悪い。が、異常に油臭いデッキに出ると漆黒の海が広がっており、旅情としてはそこそこ思い出深いと言わざるを得ない。真夏だったから良かったものの、冬だったらまた状況は変わってくるだろう。
真夏のフェリー貨物室は暑くて地獄だ。快適とは程遠い環境は現代ではなかなか無い。
種子島や屋久島に向かう便で、建築資材や生活用品などを満載。平日なのにほぼ満員である。
種子島上陸
そしておよそ4時間ほどで、真夜中の種子島に到着する。接岸した場所も客船用の場所ではなく、完全に工業用の場所。なので灯りが全くなく、歩行するのが危険極まりない。全く灯りが無く人影もないので、誤って車両消毒用のゲートをくぐってサンサーを作動させてしまうなどする。焦る。
スマホマップを頼りに歩いていると、側溝に足を滑らせ右足側面を負傷する。コンクリートがもろに皮膚を削っており、出血を伴う裂傷を負う。突然の負傷だった為、野宿する予定だったが宿にて安静にしようと思い立つ。しかしすでに夜遅く、また歩いて行ける距離にまともな宿が無さそうだったので、西之表外れのドラッグストアで消毒液と包帯とバンテージを購入。
その後ようやく野宿が出来そうな公園にたどり着き、緊急オペを実施。諸々ひと段落してから、ようやく夜食を取って、屋根付きベンチで軽く仮眠する。
ここで学んだ事は、
①種子島へは普通のフェリーか高速船を使うべし
②夏の種子島は虫が多く、野宿には適さない(特にG)
だった。今思い返すと完全に若気の至りだったとなと恐怖する。
7月19日木曜日
早朝、ふと目を覚ますと青い空が少しずつ赤く焼けていた。夏の朝、種子島のとてつもない朝焼けに遭遇し感動。
しばらくすると当たりは明るくなり、ようやく周辺の状況が見えてくる。昨晩は真っ暗で何も見えなかったので、ここまでジャングル感ある公園だったとは知らず、そりゃ大型昆虫多いはと改めて戦慄する。
しかも、南国でしか見たことのないような木々が生い茂っている上、全ての昆虫が基本的にデカい。
公園内には弾丸の形状をした謎の篆書体と漢文が記載された碑があるしで、一気に異国に来てしまったのだなと再認識する。
なお周辺に人は全くおらず、港からそこまで離れていない筈なのにあまりにも静か。
その後、結局まともに眠れなく体調も優れないので、なんとか交渉して早めに宿へチェックインし体力の回復を待つ事にした。ネットで調べたところ、確実に泊まれそうなあらきホテルへ向かう。
和室一泊(302号室) 8085円也(当時)
交渉虚しくチェックインの14時間まで待てとの事だったので、適当に西之表周辺をフラフラして時間を潰す。
もともとこの日は島内観光に充てる予定だったので、かなりダラダラと過ごす。
種子島である意味一番お世話になった「エブリワン」。現在はファミマに変化している。今となっては関東でもメジャーな「スコール」や「ヨーグルッペ」といった南国特産商品に初めて遭遇する。
あらきホテルに向かう途中、改めて海沿いの公園を訪れた。人っ子一人いないが、静かで穏やかな雰囲気である。最初からこちらに来ていれば良かった。
遠くで黒煙が上がっているが、何かの工場なのか火事なのかは不明。西之表もこう見るとなかなか大都市である。
と色々時間を潰してみたが、それでも暇なのでとりあえず近場にあった「種子島開発総合センター鉄砲館」に向かう。歴史・文化・自然を扱う郷土資料館である。適当であれば、30分程度は時間を潰せるだろう。種子島の良いところは、西之表であれば全てが基本的に密集しているので徒歩移動でもなんとかなるところだ。
■種子島総合開発センター(鉄砲展示室) 大人 420円(2012年当時)
巨大な赤い建築物が目印の博物館。そこまで広い訳では無いが、ここでしか見れない展示物もあるので見ておいて損は無いだろう。「鉄砲館」という名前だが、
近くの役所を抜けて鉄砲館に向かう。
展示内容は信じられないほどド昭和。展示方法自体が展示物のような、全てから取り残されてしまった日本という感すらある。
展示内容も風俗や文化、工芸、自然とかなり多種多様。ともかく、種子島特有のものが一同に会しているといって差し支えないだろう。
市内のロケット打ち上げに関する情報はこちらの掲示板が最もメジャー。至る箇所に設置されている。
その後、やっと時間になりホテルにチェックイン出来るようになったので、急いであらきホテルに向かう。客室は和室のみだったので選ぶことは出来なかったが、結果として良い体験になった。
「あらきホテル」の和室は雰囲気満点。液晶テレビあり。また最近、島内唯一の温泉が出来たらしい。和室の利用を特にオススメする。
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