世界初の実用ジェット飛行機
大戦末期、多数の世界初を成し遂げたドイツであるが特に有名なのがこのMe262だろう。戦後、米ソ両国に鹵獲されたこの機体はそれぞれの国でF86セイバー、Su-9フィッシュポット開発の重要参考機体となり、現在に至るあらゆるジェット機の祖と言ってももあながち乱暴ではない。
基本情報
用途:戦闘機
開発メーカー:メッサーシュミット
初飛行:1942年
生産数:1430機
全長:10.58 m
翼幅:12.5 m
全高:3.83 m
展示場所:ロンドン・RAF博物館 「War in the Air」
https://www.rafmuseum.org.uk/research/collections/messerschmitt-me-262a-2a-schwalbe-swallow/
展示機体備考:No.VK893
イギリス・ロンドン展示機体
第2次世界大戦において最も先進的な戦闘機として登場したMe262だが、ルフトバッフェ=ドイツ空軍に配備されたタイミングが遅すぎた為、その性能差を持ってしても大きな影響を与える事は出来なかった。だが、航空史に残した影響は極めて大きい。
Me262の開発は1938年に開始されたが、ターボジェットエンジンの開発が難航しプロジェクトの大きな足かせとなった。プロペラを搭載した試作機は1941年には初飛行に成功していたが、ジェットエンジンのみでの飛行は1942年まで実現しなかったのである。
なお、この機体はヒトラーとしては戦闘爆撃機としての運用を想定していたのだが、空軍幹部は戦闘機としての価値がある事に気付きヒトラーの意向を無視。ヒトラーは激怒したと伝えられている。結局、1944年半ばから戦闘機と戦闘爆撃機として運用が開始された。
しかし、そのタイミングで既にドイツはこの機体を効率的に生産・運用することが出来なくなっていた。特に深刻な燃料不足により、この機体の真のポテンシャルが発揮されることはついに終戦まで無かったのである。
本機は機首の30mm機関砲を4門から2門に減らした爆撃機型となっている。爆弾を2発搭載可能。
機関砲は勿論ラインメタル社製品である、MK108 30mm機関砲となっている。敵戦闘機を1発で吹き飛ばす事が出来る強力な報で、Bf109やFw190にも搭載された。
迷彩パターンとしては、かなり独特なのっぺりとしたグリーンとライトグレーの2色構成。それまでの機体と比べるとより流線的で突起の少ない機首周りは、当時としてはかなり異色の外観である。
比較的世界中で展示されているMe262だが、ここRAF博物館に展示してある機体は比較的状態が良く、綺麗な外見を維持している。
機体前方から接近してみてみると、見事に機体が丸みを帯びた三角形となっており機体カラーも相まって鶯餅のような印象を受ける。第2次世界大戦で最も進歩した航空機だったとはとても思えない雰囲気だ。
全体的にバランスが取れており、その後のソ連や米国の初期のジェット機と比較してもそこそこ洗練されている事が分かる。
エンジンはユンカース・ユモ004B-1 ターボジェットエンジンを2機搭載。合計17kN以上を発し最高速度は869km/hとなる。博物館には機体から降ろされたエンジン実物が展示してあるが、状態が良くほぼ完全に近い形で保存されている。実際に目にしてみると、今日のエンジンとそう遠くない機構である事がわかり、とても80年ちかく前の機械とは思えないのに驚く。
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