2022NZ南島ツーリング:⑥インバーカーギル~ダニーデン バイク天国からNZ最南端エモロード経由で石畳の街へ

バイク

9月19日 月曜日

前日ミルフォード・サウンドを堪能し、怪しい天気をなんとか掻い潜り無事南端の街インバーカーギルに到着したBMW F750GS「デイジー号」と筆者。時は既に9時台となっていた。

思い返せば、インバーカーギル到着が今回の旅で最も遅い宿到着となった。予約していたモーテルのあまりにも奇妙な匂いと格闘しながら、無事に朝を迎える。やや寝坊したけど。

とにかく匂いがキツかった為さっさと宿を後にし、バイクメッカダニーデン散策といったニュージーランドの新たな文化的側面に触れた2022/9/19の様子をご覧あれ。

前回の記事

2022ニュージーランド南島ツーリング:⑤テ・アナウ~ミルフォードサウンド~インバーカーギル https://moeginews.com/archives/1055 

経路

エリザベス女王国葬の日

ニュージーランドに来る少し前に亡くなったエリザベス女王。

かつての大英帝国構成国で、いまもコモンウェルスのユニークなポジションであるニュージーランドとしてどのような影響があるのか全く未知数だったが、国葬がロンドンで実施されるこの日は朝からテレビで国葬関連の特番が組まれていた。どうでもいいが、左側のキャスター、局の顔のようだが首から胸にかけて一直線になかなか厳ついタトゥーが彫り込まれていて、ニュージーランド滞在中で物凄く印象に残った人物だ。

出発直前にて。このモーテルも一応、自分の部屋の前にテーブル&イス&灰皿の「ビールを片手に一服しながらバイクを眺める」セットが整っていたのだが結局利用せず仕舞いだった。そこそこ街中で人も多い雰囲気だったので、実際に行うのはなかなかハードルが高い。

国道1号線の起点・南島ほぼ最南端の街「Bluff」へ

本日のルートは、まずニュージーランドほぼ最南端・国道1号線の起点の街「Bluff」に向かい、その後インバーカーギルに一旦戻りとんでもない数のクラシックバイクを所蔵するという博物館「モーターサイクルメッカ(バイクメッカ)」、アンソニー・ホプキンス主演映画で有名な実物「世界最速のインディアン」を見物した後、ニュージーランド版スコットランドと称される西海岸沿いの街「ダニーデン」にて魚介料理を食べ宿泊するというプランだった。

この日は博物館見学などがあるため比較的走行距離は短いから楽だろうと楽観視しながら出発。

この時はあわやこの旅一番の難局を迎えるとは露知らずだったのだが・・・。

という訳で早速(ほぼ)最南端まで向かうも、どうも天気が微妙。

念の為途中で雨具を装着する。雨こそ降らなかったものの、案の定目的地に到着する頃には今にも降り出しそうな曇天と変化していた。インバーカーギルからBluffまでの道のりは至って平凡。大きな港があるため、港湾工業エリアという趣が強かった。

何はともあれ、インバーカーギルから30分ほど、10時手前には最南端に到達し一息つく。

Bluffの岬、国道1号線起点にある「何故か熊谷がある標識」。

姉妹都市か何かの縁で、KUMAGAYAがあるとのことだったが9632kmとなかなかの距離である。

GoogleMapに南極が映り込むのも、後にも先にもコレっきりだと思われる。地図上だと、南米パタゴニアのほうが南極に近そうだが、パタゴニアまで行く道のりの難易度が非常に高そうだ。

割と海は荒れており、この先に南極があると言われると何となく納得できるような独特の雰囲気があった。またこの最南端ポイントも観光地化されてはいるようだが、人は全くおらず、やや街からも外れた場所にあり寂しい雰囲気だった。風が強い。

ちなみに、周辺を軽く散策してみたがビジターセンターが一軒あるだけで(しかも営業していない)周辺はほぼ何もなかった。

街自体は如何にも地方の港町といった感じで、カラフルな建物ややたらと年季の入った店構えの商店などが立ち並んでいた。港としての機能もバリバリで、港湾エリアでは大型のタンカーやコンテナ船がせっせと出たり入ったりしていた。

交通量はそこまで多くないので、晴れていればゆっくりドライブには最適だろう。

ニュージーランドは割とストリートアートが活発な方だと思うが、この街BLUFFはかなり力を入れているのか、ド派手な壁アートがそこら中にあった。最南端よりもこちらの方が圧倒的に映えることは間違いない。

たんなるグラフィティではなく、街としてのアートプロジェクトのようだった。

正直特に見るものが無いので、早々と一旦インバーカーギルに戻る。

世界最速のインディアン巡礼・インバーカーギルはバイクの街

まず最初に向かったのは「世界最速のインディアン」の実物が展示してあるというホームセンター「E Hayes」。コメリにシマムラを合体させたようなホームセンターなのだが、何故か異常に大量のバイクが展示してある事で有名。もちろん入場料なども取られない

筆者も訪れるまでにわかに信じがたかったのだが、本当に普通のホームセンターの中に、世界最速のインディアンやクラシックカーなどが何の脈略も無く陳列してあるのだ。

色々回ったが、バイク駐車場が無かったので普通に駐車。タイミング良く雨が降り始めていた。

店内は完全にバイク博物館。半世紀以上前のクラシックバイクがメインとなるが、80年代レーサーレプリカ全盛期の日本のレプリカバイクなども陳列してあり国際色豊かだ。

月曜午前中という事もあり人影まばらで、じっくりゆっくり鑑賞できる。

【インバーカーギル】ホムセンに突如出現する世界最速のインディアンモデルの「インディアン・スカウト」 https://moeginews.com/archives/1932

バイク好きなら絶対に行くべき場所:クラシックバイクメッカ

今回、南島を周遊する事の決め手の一つに「Classic Motorcycle Mecca」がある。ニュージーランドという地の果てで珍しいバイクが勢揃いしているという何ともエキゾチックな響きに惹かれ、インバーカーギルを宿場の一つに追加した。インバーカーギルにはもう一つ、超長寿命な世にも珍しいトカゲであり恐竜の唯一の末裔といわれる爬虫類 トゥアタラ(むかしとかげ)の ヘンリー君(推定110歳以上)がいるのだが、今回はバイクに限定。結論からいうと全然半日では足りないほどの物量があるバイク博物館だったので、インバーカーギルは1日目はバイク博物館、2日目は激レアトカゲ見学&街歩き、な2日構成が良さそうだ。

と、パワーワード満載のインバーカーギルの前置きが長くなったが「Classic Motorcycle Mecca」はクラシックバイク、それもバイク誕生の瞬間からという本当の意味でのクラシックバイクが大量に展示してある。1970年代頃までのバイクが非常に多いのだが、2000年頃までのレーサーレプリカなども勿論多数展示してある。大型の建物3層ぶち抜きで、感覚的には栃木茂木にあるホンダ博物館よりバイクの量は多かった。

ともあれ、バイク好きは120%訪れることをオススメする。

以下、特に気になったバイクの紹介をしてみたのでいくつかご紹介する。気になったバイクについては今後も個別に記事化していく予定。

【博物館・インバーカーギル】1929 BSA S29 Speedway bike https://moeginews.com/archives/1928

【インバーカーギル・博物館】1928 ツェンダップ K500W https://moeginews.com/archives/1938

<バイク博物館:Classic Motorcycle Mecca情報>
住所:25 Tay Street, Invercargill 9810 ニュージーランド
営業時間:10時00分~17時00分
入場料:大人$40.00 (値上げした)
公式サイト:https://www.motorcyclemecca.nz/
駐車場:バイクに関しては近くの路上に公共駐車スペースがあるので、空いていればそこに止める。歩道に対して垂直に止める、ニュージーランド全土で見られる独特のシステムだ。

とにかく、圧巻の一言。

今回の旅で最もハイカロリーな昼食

バイクメッカにて身も心もバイクで染め上げられた後、同じ建物の中にあるバイクコンセプトのカフェレストラン「Meccaspresso」に入る。

ニュージーランドまでわざわざ来たにも関わらず、バイクを見すぎて疲れるという謎の現象が発生したため、とにかくハイカロリーなものと言うことでメニューから一番重そうなダブルチーズバーガー的なものを注文する。そして出てきたのが上記画像だ。

これがまた非常に美味ニュージーランドで食べたハンバーガーで一番美味かった。フライドポテトは冷凍を揚げただけな感じだったが、バーガーの方は大量の野菜と共に巨大なパテ、卵焼き、そしてチーズがこれでもかと挿入されている。さらにバーガーの上からオニオンリングが串刺しになっているという斬新な造りで見栄えもファンキーだ。

テーブル上のフォークなどはバイク用計量カップっぽいものが使われているなど、完全にバイクが中心の世界観で作り込まれた店内も必見。ここまでバイクなハンバーガー屋は日本でもそうそうお目にかかれないだろう。なお便所のドアノブはクランクシャフトだった。何を言っているのか分からないと思うが・・。

ドリンクはジンジャービアーなどニュージーランドあるあるなものもあったのだが、胃に優しいレモネード。バイクメッカに入らなくてもレストランは利用できるので、是非訪れてみてほしいレストランだ。(ここまで来てバイクメッカに行かないという選択は、確実に公開するので避けるべし)

ダニーデンへ出発

昼食バーガーを食べ終わった後、次の目的地「ダニーデン」に向け出発する。バイク博物館が予想以上に濃密だったため時間を結構使ってしまい、昼2時頃での出発となってしまった。ヘンリー君が生きているうちに再訪したい・・・!

今回のコンセプトは一周なので、最短距離ではなく、海沿いの道を選択。それでも約250キロ、3時間半程度の距離なので精神的にはかなり余裕を持って出発する。

ルートとしては「サザン・シニック・ロード」なる道をひたすら東に向かう単純なコース。感覚的にはニュージーランド最南端エリアで観光客もほぼ居ないと踏んだが、実際道はガラガラで非常に快適な道が続いた。

極上ラインが続く。人口密度は極めて低い。

■最高のビーチが見えるPA

途中、一番印象に残った場所は海沿いの高台にあるパーキングエリア。ここからは超自然なビーチを一望できる上、人家も全く見えないのでニュージーランドを体感するには持ってこいの場所となっている。

映画のロケ地にでもなっていてもおかしくない完璧なビーチ

■あわやガス欠

道中、穏やかに晴れた天気で最高の海を眺めながらの快走だったのだが、今までに増して文明の痕跡が少なくガソリンスタンドもあまりないので、給油は出来るタイミングで行ったほうが良い。比較的ガソリンスタンドが多い気がするニュージーランドだが、それでも少ないので、たまに目にするレギュラーオンリーの無人ガソリンスタンド(デカいタンクが地上に置いてあるだけの無人施設)で良いから給油をおすすめする。

タンク容量の多いF750GSだが、南部海岸沿いが意外とアップダウン多く急速に燃料消費。残り走行距離も非表示になり本気で焦る。車が全く来ないので下り坂はニュートラルで対応するなど無駄なあがきをしたが、運良く無人ガソリンスタンドにたどり着く。クレジットカードがしっかり使えるので本当に助けられた。

その他、語り尽くせないほど神秘的な大自然を多数目撃する。完全に未知の領域

ニュージーランド南島南部は日差しが柔らかく、あまりにも均整の取れた自然が図らずもバイク印象派名画を生み出してしまう。

すべてが調和する。

湿りっ気のある街・ダニーデン到着

その後、特に問題なく明るいうちにダニーデンに到着。いかにも港町といった雰囲気の小さな石畳の街で、クイーンズタウンともインバーカーギルとも違うヨーロッパな雰囲気の街だった。(ニュージーランドでもっともスコットランドな雰囲気の街もと言われているらしい)

ダニーデンの宿は、街の中心に近くアクセス便利な場所だった。室内も広く眺めも良かったのだが、ドアを開けると謎の廊下がありややホラー味のある演出で出迎えてくれた。

<ダニーデン宿:97 Motel Moray>
住所:97 Moray Place, Central Dunedin, Dunedin 9016 ニュージーランド
チェックイン:結構遅くまで大丈夫
1泊:8000円くらい
公式サイト:http://97motel.co.nz/
駐車場:モーテルなので部屋の棟眼の前に止められる。大きいモーテルなので、止める場所は多そうだった。

バルコニーからはバイクの状況が確認できるので、これまた便利。街の中心に近いのが何よりも便利。

バスルームは広々としていてバスタブもあり、しっかりと清掃もされていて全く問題は無かった。モーテル自体の外装はなかなか古めかしい雰囲気だったので、適切に内装は改修されているようだ。

ひとっ風呂浴びた後、テレビをつけるとエリザベス女王の国葬生中継が。ニュージーランド代表としてアーダーン首相が向かっているとの事だった。ニュージーランドからイギリスまで、18400km地球規模でも一番遠い場所にある国と言って過言ではないのだが、心の故郷というか本国感がやはりあるのかなんとも湿っぽい番組が延々と続いていた。

SPEIGHT’S ALE HOUSEはいいぞ

インバーカーギルの一角に古風なやたら目立つビルがある。

バイク疲れが癒えたところで意を決して、目星をつけていた店「Speights エールハウス」に向かうが、その斜向かいに上記建物が存在。

ダニーデンでも特に長く続く酒場(レストラン)で、バリバリビールを生産している「Speights Ale House」は店構えもでかく、夜になるとかなり人気が少なくなるダニーデンの中でも活気があり楽しげな場所だ。

<ダニーデン夕食:Speights Ale House>
住所:200 Rattray Street, Central Dunedin, Dunedin 9016 ニュージーランド
営業時間:11時30分~22時00分
公式サイト:http://www.thealehouse.co.nz/
メニュー例:ハイランドラム$34、バーガー類$19.5他多数

激ウマニュージーランドエール。シチュエーション、タイミング等全てが完璧な状態で飲んだので、完璧以外の言葉が見つからない旨さだった。

エール以外にもピルスナーやオールドダーク、その他諸々が揃えられており飲み比べセットもあるようだった。常時十本近いビールがタップ直結しているようだった。店内も広く、100席くらいありそう。

元ブリュワリー工場だけあって店内は非常に広く、天井ぶち抜きで添えられたニュージーランド開拓の歴史を綴った装飾は見応えがある。またビールタンクが店内にめり込んでおり、ビール好きにはこれ以上ない良い雰囲気の中、ビールを無限に楽しむ事ができる。

もちろん、食事も間違いがなくコッドを炒めたものを注文。激ウマ。

ビールは飲みやすく、ヨーロッパ圏でありがちなほぼ洗ってないジョッキで提供される、なんて事もなくキレイなジョッキでグビグビ飲めるので、結局4杯ほどビールを堪能、完全に出来上がってしまった。

スコットランド風の街・ダニーデン

流石に飲みすぎてしまったので、少し遠回りをして宿に戻ることに。19日は月曜日という事もあってか、はたまた皆家でエリザベス女王の葬式中継を見ているのか、21時頃街には人気がほとんど無かった。まずは上記、第一次世界大戦の戦没者記念碑。第一次世界大戦の記念碑は、ニュージーランド各地で割と目にする機会が多かった。

ニュージーランドなので危険度はそこまで感じないが、街は完全に暗い。イタリアの地方都市のような暗さだ。

そこら中にマオリ系なのか、珍妙な銅像がたくさん設置されている。

中華街っぽいモニュメントもある。

多分ダニーデンで一番目立つ建物、スコットランド長老派教会(プロテスタント)のファースト教会。ヨーロッパの名だたるゴシック様式の教会と比べると小ぶりだが、周りに建物があまりなく丘の上にそびえる威容は、夜だとかなり荘厳に感じる。周りが暗い&ライトアップがガンガンされているのでとにかく目立つ。

典型的ケルト十字。ニュージーランドの大自然になぜか似合いそうだ。

より街の中心部にある英国国教会のセント・ポール大聖堂。歴史を感じさせる急階段が印象的だ。もちろん閉まってるし誰もいない。21時前でそこまで遅い時間では無いのだが・・・

入口には花が添えられていた。宿に戻ると、エリザベス女王の国葬中継が終わっていた。

いよいよ旅も後半戦に入ってきて体も疲れてきていた為か、ベッドに吸い込まれるように寝落ちしてしまった。

2022/9/19走行データ

  • 走行開始時刻: 09:16
  • 走行終了時刻: 15:10
  • 走行距離:約280km
  • 主要走行ルート:インバーカーギル~(サザン・シニック・ロード)~ダニーデン

(9/19完)

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