2022年ニュージーランド南島バイクツーリング:③フランツ・ヨーゼフ~クイーンズタウン

バイク

ついに始まったニュージーランド・バイクツーリングの旅。9月中旬ということで季節的に心配だったものの、路面的にも天気的にも全く問題ない、むしろ丁度いいくらいの最高のコンディションで早速荒々しい峠からジャングル感あふれるトロピカル植物ロードまでを初日に堪能。1日目はほぼほぼ途中停車することなく走り続けたが、2日目となる今回からは、寄り道しながらのニュージーランド南島ツーリングとなる。それでは、2022/9/16(金)の様子を見ていきたい。

前回の記事→『2022年ニュージーランド南島バイクツーリング:②クライストチャーチ~フランツ・ヨーゼフ』https://moeginews.com/archives/1048

ケアの家族に起こされる

朝。

ガンガンガンガン・・・と何か硬いものが屋根の上に当たっている音で目を覚ます。朝か・・・と思いおもむろに窓の外を眺めると雲ひとつ無い青空の下、白い雪を被った雄々しい峰々がそこにはそびえ立っていた。昨日、フランツ・ヨーゼフ到着時は辺りは真っ暗で勿論この山も見えなかったので、突然の山の出現に驚きつつも非常にキレイな景色に見とれてしまう。

山までの距離が近いためか、モーテル室内からも望遠レンズでここまで写すことができた。山の名前は分からないが、大迫力な光景である。

ふとバルコニーを見ると小さな小鳥が。はは、此奴め・・・と先ほどの音はこの鳥だったのかと思いきやまた「ガンガンガンガン」と非常に屋根が非常にうるさい。ネズミでもいるのか?と思いつつ隣の小屋を見てみると、そこにはなんとかなり大きい鳥が4羽、屋根の上を歩いているではないか。

普通に度肝を抜かれてしまったのだが、大きな鳥が4羽ほどとなりの小屋の屋根の上で歩き回っていた。なんじゃこりゃと思い外に出ると、お隣に宿泊していた女性が大砲のようなカメラを構えて撮影しまくっている。こんにちはーと挨拶しつつ、なんですかこれ?と聞くと「ケアよ!」とニコニコ顔。

カシャカシャ・・と楽しそうに連写している姿を横目に、なるほどこれがあのケアか・・と納得。天然記念物でニュージーランド固有種で絶滅危惧種、世界唯一の山オウムで頭が良く道にケアキオスクができるほど有名なあの・・「まだ子供ね!」とお姉さん。なるほど、子供か〜と思いつつ普通にデカい。というかそんな貴重な動物がこんな簡単に現れるものなのか。確かにたまに「け〜〜あーーーー」とかなりうるさい鳴き声で鳴いていた。

お姉さんは明らかにセミプロの装備だったので、もしかしたらケアを撮影しに来ていたのかも知れない。ということはこれはかなりラッキーなのでは?と思いこちらも色々撮影してみた。

世界一知能の高い動物の一種らしく、色々被害も出ているとのことと実際見るとまあまあデカいのでやや警戒していたが、見ていると確かに何やら考えながら動いている様子。朝飯を探していたのか、しばらくして人間が何も餌をくれないと分かると「けーあーーー」と鳴きながら隣の家に飛び去っていった。フランツ・ヨーゼフの住民も大変だな・・と思った朝の一時であった。

装備などについて

出発前に、改めて装備を確認する。左から、

HYOD ST-Xレザージャケット

HYOD スマートレザーパンツ

ワークマンのイージス上下

という基本セットでニュージーランドは巡航した。イージスは寒かったり雨が降った時のみ使用したが、基本的にレザーの上下で9月のニュージーランドは問題はなかった。インナーには厚手のヒートテック系とフリース、インナーダウンを着用。風は冷たいのでネックウォーマーは必須だ。バイクはグリップヒーター搭載だったので、手元も特に寒いと感じるシーンは無かった。

スマホは予備を多めに準備し4台。万が一に備え、荷物の至る所に散らした。すべてsimフリー。

一眼は10年物のCanon X7iにタムロンの250mm。素子も粗々でそろそろ限界が近づいているが、壊れても特に困らないので今回最後にひと頑張りしてもらった。

宿の前にて。今回宿泊したのは完全独立型のコテージとなるので、ゆとりのある宿泊となった。パッと見プレハブのような建物だが、隙間風や室温が低いなどといった不都合は全くなかった。wifiも問題なく利用可能な範疇だ。ただ、ご覧の通り砂利がかなり緩く取り回しが大変だった。

小屋にはしっかりとキャンピングカーも入るサイズの駐車エリアと、テラスにはテーブルや椅子、灰皿等のくつろぎグッズも充実していた。

この日はとても空気が澄んでおり、目の前に広がる山々がクッキリと見える。小屋からはこんな感じで山が見渡せるので、夕方前にチェックインして日没の景色の変化もきっと非常にキレイだろう。

フランツ・ヨーゼフの駐車場

宿のチェックアウトを済ませ、早速走り出す。まずはフランツ・ヨーゼフの氷河を見に行く。フランツ・ヨーゼフの集落から氷河見学ポイントの駐車場までは10分程度。川沿いの道路が山麓まで続いており、スピードは出せないものの快走路である。

駐車場は数十台停められる広さがり、まあまあな数の自動車が既に停まっていた。

どの程度氷河まで近付けるかは、その時々によって異なる。掲示板には割と詳しく記載があるので必ず確認しよう。

氷河のビューポイントまでは複数のルートがあり、早いルートだと15分程度。ドローンは飛行禁止。

道は舗装されている訳ではないが、道幅があり歩きやすいものになっている。道の両サイドはシダ系植物が生い茂っており、さながらジャングルの様相を呈する。多少アップダウンがあるので、サンダルなどでは結構厳しいかも知れない。

この時は氷河まで近づく事が出来ず、川の手前からの見学となった。肉眼だとかなり見辛いが、上記画像の中央に写っている氷塊がフランツ・ヨーゼフ氷河である。

なお余談となるが、筆者が通っている「エニタイムフィットネス」のランニングマシンではこのフランツ・ヨーゼフのルートが映像として流れる(↑画像)。エニタイムマシンで事前に数十回映像を見ていた為、事前学習は完璧だったのだがこの時は氷河まで近づく事が出来なく残念だった。が、まま同じ光景だったので無駄にテンションが上がった出来事だった。

公園レンジャー(のハリボテ)がいるので立ち入り不可。

とは言え、氷河は見えなくもないのでしっかりと観察。たしかに氷の色が少し青みがかっている気がする。

山もかっこよく、岩肌が神々しい。

周辺にはジャングル以外にも滝や奇妙な鳥類がいたりとコンパクトながらも大自然を堪能できる。駐車場含めてすべて無料でトイレもあるので至れり尽くせりと言っても過言ではない。

日本で言うところの上高地的な雰囲気なのだが、川の色が全然違うのが衝撃的だった。

ジャングル→オーシャンビューどっちも楽しめる6号線

氷河の見学を済ませ、若干のジャングルツアーも経験したところで足を先に進める。

フランツ・ヨーゼフを抜け、一度6号線に戻る。フランツ・ヨーゼフからはしばらく6号線は完全にジャングルの中を走行することになるため、今回の旅でも一番ニュージーランドとしてはトロピカル度の高いコースを楽しめる。かなり背の高いシダ植物や妙に甘い香りのする密林帯をいくつも抜け、途中では雪かぶった山々が突如として現れたりと驚きの連続。無人と思われるエリアが延々と続くので、余計冒険している感を堪能できる。

西海岸の6号線南下中は右を見れば海やビーチ、左を見れば滝やフォック・グレイシャーなどの氷河等々、非常にダイナミックな自然に溢れている。また途中、川を渡ることも多く雪解けたばかりのありえないくらいキレイな水色の川をみる事もできる。もしかしたらニュージーランドの道路で一番好きかも知れない。

Bruce Bay

しばらくすると再び海岸線に戻る。写真は「Bruce Bay」にて駐車した際の模様。森を抜けると突然駐車エリアが出現する。しばらく海を眺めながら休憩。ここにきてサンドフライが大発生していることに気づく。この後、ニュージーランド自然エリアでは必ず悩まされるハエとの遭遇である。といっても地肌の露出がほぼ無いため、実害はそこまで無いのだがただただ数が多い。スプレーは必須。

抜けるような晴天で風も比較的穏やかだったため、とにかく気持ちいい。ハエが多い事を除けば、小休止するにはもってこいの場所だ。

駐車エリアはそこまで広くないものの、車もほとんどいなかったのでビーチを独占することができた。

Lake Paringa Campsite

ビーチに15分ほど滞在し、再び6号線に戻り南下。少しお腹が空いたな、と思っていると丁度良いタイミングにキャンプサイトが現れたので入ってみた。入り口は小さいものの、サイトに入ってみるとかなり大きく車が何台も駐車できるような広さだったが、なによりも眼前に開けた大きな湖の眺望の良さがすばらしい。Paringa湖である。

この時も車は後から1台、キャンピングカーが来た程度でほぼ無人。トイレも併設されているため、ここをキャンプ地とする、と言いたくなるのを抑えて昼食をとることにした。案の定、ハエ(サンドフライ)はめちゃくちゃ居た。

早速パニアケースから道具を取り出し、湯を沸かす。長めがとにかく良い上に人っ子一人居ないので非常に静か。6号線からもやや離れているので、実に良い環境だ。

この時はクライストチャーチで購入したニュージーランド産のレトルトパック(バジルチャーハン的なもの)を食す。かなり不味かったので記憶がほとんどないのだが、景色が良かったので特に問題でも無かった。食後にコーヒーを一杯飲み体力回復したところで、先を急ぐ為出発。

ちょっとした砂丘が見れるShip Creek

出発して10キロ程度進むと、再び海岸線沿いに戻った。太陽もてっぺんから落ち始めており、本日の最終目的地クイーンズタウンまでまだ250キロ以上あることから先を急がねば、と思いつつも道中面白そうな場所があれば立ち寄ってしまうのが人情。海岸線沿いに、結構しっかりと整備された駐車場を発見したので入ってみた。

すると、物見櫓のようなものと小さな小屋、そしてビーチへと続く木道が出現する。

小屋には何やら西海岸の歴史などが書かれたボードなどがあり、一応観光スポットとしてしっかりと整備されているようだ。人は全くいなかった。

一応、やぐらに登って撮影してみた図。

ちょっとした砂丘的な雰囲気で、結構楽しげな場所ではあるのだがいかんせん人が全くいないので、猿の惑星の海岸線シーンのような週末感をどうしても感じてしまう。筆者的にはそれが極上の楽しみなのではあるが。

バイク以外での時間消費を極限まで抑えようとするものの、どうしても未知の空間への魅力には抗えない海外バイクツーリングの醍醐味だ。日は明らかに落ち始めている。間に合うのか、俺。

海から一気に山の中へ

F750GSはそこまで燃費は悪くなく、旨く行けば400km程度は普通に走った。お陰様でガソリン補給も思ったほど頻繁ではなく、また要所要所にガソスタがあるおかげで特に困りもせずぐんぐん距離を稼げる。

砂丘から出た後は、海とおさらばしてひたすら山の中に突入していく形となった。眼前に次々と巨大な山が現れ始め、右手にはマウントアスパイアリングの山系、左手には遠くマウントクックへと連なる山系ということでまさに峡谷。日本で言えば上高地や室堂に行く途中のような道が延々と続く。

北アルプスでここまで山体にバイクで近づける場所はなかなか無いのでは?と思えるほど、山に近づけるのがニュージーランドのすごいところ。山好きにはたまらないだろう。

途中、止まってる場合ではないのだがあまりにも山がかっこいいので度々止まってしまう。今回の旅では、後半のテカポ湖周辺が高度の高いエリアの走行となったがこちらのワカナ手前の道路の方が山を近くに感じる事ができたと思う。山好きには是非このルートをオススメしたい。

雪が付いているのはおそらく2000m前後の山々。冬が終わり雪解け水が川に溢れ出るわけだがコレがまたとにかくキレイ。春先の上高地の梓川は水がきれいなことで有名だが、その比ではないほどトルコ石のような青が印象的だった。

南島は巨大な湖が多い

山をさらに突き進むと大きな湖とぶち当たる。こちらはワナカ湖なのであるが、ニュージーランド南島、とにかく巨大な湖が多い。ワナカ湖はニュージーランドで4番目に巨大な湖で、面積193万平方kmで霞ヶ浦よりも大きい。また周辺には街という街はほとんどなく、自然そのもの。人工物がほぼ無い場所も多く、山も含めすべてのスケールが異常に大きいのでバイクで走っているとロード・オブ・ザ・リングの世界に溶け込んでいるかのような、日本ではまず味わえないような感覚に陥る。

なお6号線沿線にはほとんどなにもないのだが、ところどころにビューポイントが設置されているのが有り難い。そしてとにかく人がいないので、常に景色を独り占めできるのが非常にポイント高い。

かなりハードだったクイーンズタウンへの峠越え

6号線はワナカの街で降りて、クイーンズタウンに向けて進路を取る。「カードローナ・バレーロード」という峠道に入るのだが、ワナカを越えた辺りから一気に車の量が増えた。しかも「バレーロード」とある通り、山間の谷の道なので山の陰で暗く、地元民の車がめちゃくちゃ飛ばす(ニュージーランドの道は表示無い限り100キロ道路)のでいきなり本気ライドを要求される。高い建物がない分ブラインドはそこまで無いのだが、100キロで峠のコーナー突入など結構ハラハラする箇所も多く、流れが早いので普通に頑張る。そして峠の最終局面がかなりアップダウンのある峠越えで、ここが本当に無理せず行ったほうが良いと感じたレベルだった。山の最後に到達したビューポイント「Crown Range Summit」で一旦停車する。

この写真からも高度感が伝わるかと思う。とにかくハードな山越えだった。というか地元の車がめちゃくちゃ飛ばす。

ご覧の通り、標高が高い地点のため山陰には普通に雪が残っている。雪解けした水による水たまりなどもあり、アドベンチャー指向のF750GSでなければ立ち入るのは躊躇するレベルだ。やはり、ニュージーランドをツーリングするならアドベンチャー系バイクに限る。

クイーンズタウンはバカ混み

最後の峠を越え、いよいよクイーンズタウンに到着と息巻いているとクイーンズタウンギリギリ手前の道路が工事中で大渋滞。帰宅ラッシュに完全に重なり、クイーンズタウンにたどり着くまでに45分ほど掛かってしまった。シーズン外したにも関わらずこの有様なので、夏はとんでもない事になりそうだ。

本当はクイーンズタウンの名物でも買い食いしようと思っていたが、渋滞で完全に消耗してしまい、かつクイーンズタウン自体が想像以上にパーティータウンでどこもかしこも観光客でごった返していた為軽く市内観光し、あろうことかマクドナルドでハンバーガーを購入し一路本日の宿へ。

宿:MELBOURNE LODGE QUEENSTOWN

いきなりバスルームの画像で恐縮だが、流石に広々とした室内で全体的にキレイだった。

予約するタイミングが悪かったので、4人部屋でベッドが4つあったが気にせず利用した。なおキッチンもかなり広々としているので、長期滞在には持ってこいだろう。

↑唯一残念だったのがwifiのスピードが遅かったということ。宿自体が母屋と別館で分かれており、客室もかなり多い様子だったのであまり期待しないほうが良いだろう。

↑一方、ボーダフォン回線は5Gを拾ってかなり快適。携帯でテザリングしたほうが圧倒的に快適だった。クイーンズタウン滞在での学びとしては、宿が高額になりがちで街も大混雑しているので、できれば宿泊は手前のアロータウンか更に別の場所にしたほうがよい・・という事である。翌日以降に備え、クイーンズタウンでは早々に就寝した。

9/16走行データ

  • 走行開始時刻: 09:46
  • 走行終了時刻: 20:00
  • 走行距離:約380km
  • 主要走行ルート:フランツ・ヨーゼフ~(6号線)~ワナカ~(Riverbank Rd)~クイーンズタウン

(9/16完)

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