※本記事は筆者の怠慢により積んでいた2018年平昌オリンピックの現地レポになります
とにかくアイドル
訪韓してから今の所一度も遭遇していなかったアイドルだが、オリンピック開会式前日の聖火ゴール地点イベント会場にてついに本場アイドルの「気合い」を目の当たりにした。
北朝鮮との軍事境界線(DMZ)から大阪ー岡山感程度しか離れていないここ江陵市では、半島の厳しい冬の寒空の下ミニスカートで踊りまくっていた。時刻的にはすでに16時を回っており、元々曇りだった空は正に冬の曇天といった具合で夜の帳が下りつつあった。そんな中にも関わらず、4人のアイドルが割と突然ライブを開始したのだった。これが、この聖火リレー最終地点・開会式前日セレブレーションイベントの開始だったのである。
「Let Everyone Shine」。アイドルのイベント感あるスローガンだ。
江陵市庁舎の駐車場エリアに仮設ステージが組まれ、左右に大型のLEDが設置された格好だ。
勿論、トラスもしっかりと組まれており音響照明もバッチリ準備されていた。
残念ながら韓国語が全くわからないため、MCなどの内容はよくわからなかったが、とにかくクソ寒い中笑顔を絶やさずめちゃくちゃ頑張ってパフォーマンスしている姿には、プロ根性と気合が感じられた。それだけでも十分韓国に来た甲斐があった・・・そう思えた名も知らぬアイドルたちのライブだった。
客席部分にはプラ椅子が配置されており、気休め程度にカフェなどによくある傘上のストーブ(パラソルヒーター)が数台設置してあった。
また客席エリアの中央には謎の花道も設置されている。
奇跡的に雨は降っていなかったが、海沿いの街だからか常時風が強い強い。なお、画像右端に見切れているのはマスコットキャラクター「スホラン」である。
一組のライブの後、割と雪崩式に次々とアイドルのパフォーマンスが展開される。
ソロの昭和系歌唱力アイドルが強風&冷え切っている観客の前で熟練のパフォーマンスを展開したと思えば・・
ゴリゴリのダンス系グループが打って変わって激しめのパフォーマンスを行ったりと
かなりバエティーに富んだ演目を次々と実施してくれた。どこまで有名なのかさっぱりな中ではあったが、あくまでこれらはイベントの前半部分。というかライブコーナー。重要なメインコーナーはこの後ありますよ、という事でMCが挟まれる。
突如飛来する米軍機
と、ちょうどそのタイミングで空からとんでもない轟音が。見上げてみると米軍の大型輸送機(C-17)が割と低空で飛行していた。韓国には多数の米軍基地があるので割と日常的な光景と思われるが、休戦中とはいえ平気で弾丸を飛ばしてくる敵国家が直ぐそばにあるので一々驚かざるを得ない。
炎上する火の玉
米軍機が驚かせるなよーとガヤガヤしていると、今度は突如ガソリンのような臭気が辺りに漂い始めた。出店なども少しあったので、発電機の燃料かなと思いきや、白装束集団が直ぐ側で突然ドブ漬けのような樽にガチガチの燃料をじゃぶじゃぶ注いでいるではないか。おいおいおい。そして先端に綿がついた角棒を突っ込み、燃料を染み渡らせている。写真でも解るように、アイドルがパフォーマンス中で、パラソルヒーターも割とすぐ側にある場所でこの作業を突如開始。消化器なども用意されておらず、韓国の「祭り」は本物だという事を再認識した次第である。ちなみに、喫煙所は別でちゃんと用意されていた。
アイドルのコーナーが終わると、先程の燃料滴る角棒を持った白装束集団(恐らく、昼に太鼓パフォーマンスしていたおばちゃんたち、おっちゃん達)が一連に整列し始めた。一応、警備ということで何人かいるが、このタイミングでかなり燃料臭さが充満しており、何かとんでもない儀式が始まるのではないかというガチ目な緊張感が辺りを支配する。ちなみに、画像で後ろ向きで見切れている白いのは「スホラン」であるが、少なく見積もっても4体は確認できた。
BGMもなく謎の緊張が続く中、次に現れたのは男衆によって運び込まれたドラゴンである。しかも口から煙を吐いている。既に。このドラゴン衆は他の白装束集団と違い、大会公式ニット帽とカッコいい靴を履いており、恐らく中でも精鋭部隊だということが窺い知ることができる。
ちなみにドラゴン自体、相当大きく長さは10m近くあり、特に顔のディテールはなかなかのもの。スモークを常時履いており、めちゃくちゃ凝った作りである事は間違いない。
オールスタンバイ。な状態になり、白装束集団もソワソワし始める。何をおっ始めるんだ・・
観客も何が始まるか良くわかっておらず、そのタイミングも最早台本には書いていないようだった。
と、突如一人のおっちゃんが遂に玉に火を着けて火の玉を作り始めた。かなりの勢いで燃えているが、そんなの構いなしに次々と火の玉を着火していくおっちゃん。
あれよあれよという間に、整列していたおばちゃんたちの火の玉も着火し、火の玉からは絶対体に有害な黒煙がもうもうと辺りに立ち込めていた。当然の事ながら結構臭う。
ガンガン燃えているので、割と大丈夫か?な空気が漂い始める会場。日は既に落ち始めている。
白装束集団、中央花道を更新する。そしてこの煙。先程までのライブどころの騒ぎでは無くなっている。
めちゃくちゃ良く燃えている火の玉。全く動じる事無いおばちゃんたち。
とはいえ、流石に臭い&熱いのでやや怯むおばちゃんも中には見ることができた。
日本で行おうものなら消防法やらで絶対認可降りなさそうなパフォーマンスだが、市庁舎前で堂々と行っているので全く問題ないのである。
火の玉儀式の準備が進む中だが、あまりにも煙たいので一旦退散する筆者。
喫煙所からコカ・コーラトラックの裏が見えたのだが、スタッフが一人で黙々とダンボールを潰していた。頑張ってほしい。
会場に戻ると白装束集団が完全に何かの祈祷を行っており、儀式が進行していた。
改めて見ると煙の量が尋常ではないことが解る。燃やしていた燃料、なんだったのか・・・
そして例のドラゴンが会場中央の花道を駆けていった。この松明は、ドラゴンを照らすものでもあったらしい。
儀式は舞いを行い、終了。絵面とは裏腹に、意外とあっさりとしたものだった。
次に、民族衣装を着た男衆が竿にぶら下がった玉を持って登場。これはくす玉だと一発で解る。
そして観客の「やっと面白そうな物が出てきた」感。安堵の瞬間である。
玉に関しては、開会前に配られていたお手玉がその正体で、皆が一斉に投げ始めた。
まあまあ楽しいくす玉投げ。BGMは地元の太鼓&笛。こういう分かりやすいものが、一番楽しいのかもしれない。
はいおめでとうございます!とMCが言ったかわからないが、無事くす玉も割れ観客のボルテージも最高潮に。田舎の県庁前で行われる夏祭り的な盛り上がり方で、見ていてほっこりする。
くす玉の後は、ステージにて口直しにか数組のバンドがライブを実演。地元感があり、非常に良い雰囲気となっていく。
スポンサーパフォーマンス
ここからは協賛タイムという事なのか、まずはサムスンのメッセージ入り風船が紹介される。
様々な人の思いが込められているんです、という旨のコメントをされつつ(推測)玉が次々と空に放たれていく。
玉、離陸シーン。
丁度日も落ちきっていたので、玉に仕込まれたLEDがいい感じに光り、なかなか映える絵となった。
お次は、という事でステージ上でコカ・コーラのロゴが浮かび上がる。
どうやらコカ・コーラは、LEDパネルを使った現代的なパフォーマンスを行うようだ。辺りは既に完全に真っ暗で、LEDの映像が非常に良く映る。
EDM系の音楽に合わせて動くカッコいい映像。これはダンス系か?と思っていると
コカ・コーラ衣装を纏ったダンサーが出てきて、めちゃくちゃキレッキレのダンスを披露し始める。恐らくこのイベント通じて最も完成度高く、筆者もしばし見入ってしまった。
最後の方にはコカ・コーラの白熊「ポーラーベア」も登場し、可愛らしくダンスを行う。時間的にはそこまで長くない演目だったが、ダンスと映像と音楽の融合が非常に完成度たかく、コカ・コーラすごいな!というイメージが付きやすいステージだった。
コカ・コーラ美女イケメン軍団(多分)も現れて、ノリノリで会場を盛り上げる。韓国語がわからないのが惜しい。
ステージパフォーマンスも大方終了し、いよいよか?というタイミングでちょうどよくチマチョゴリを着た女性達が現れ、灯籠を設置していく。
程なくして、聖火が到着。最終ランナーが誰なのか、皆目検討もつかなかったが、恐らく著名人なのであろう歓待ぶり。
とにかく寒いんですよ。
そんなこんなで、ステージ上に要人が集結。恐らく江陵市市長、組織委員会の偉い人、聖火リレーの偉い人、そんなところでしょう。
無事着火~という事で、ステージ上の台座に着火すると花火が突如上がった。
割と突然だったため、かなり驚いたがそこそこ大きめの打ち上げ花火が発射され、江陵の空を色染める。翌日の開会式でも思い知ったが、韓国は本当に花火好きなのだろう。
鎮座する聖火。翌日は、ここから会場へと運び込まれ、最終的にキム・ヨナがスタジアムの聖火台に着火することになる訳だ。
後の祭り、ということで花火が上がった後は皆そそくさと撤収。とにかく寒い、というのと明日が開会式本番ということで、みな体力を温存したいのだろう。
ということで、事前情報ゼロで参加したら意外と内容盛りだくさん&度肝を抜かれるシーンもあり楽しいイベントとなった。手作り感が半端なかったが、これもまたローカル感あるオリンピックイベントということで良かったのかもしれない。
次回以降は開会式と、メイン会場周辺のセレブレーションについてレポしたい。
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