見事に英国面な外見の軽爆撃機
イギリスのブリストルが1935年に当初高速旅客機として開発した機体で、当時としては画期的な500km/h近い性能を示し、そのまま転じて爆撃機となった機体。ブレニムはMkIからVまで存在するが、そのどれもがかなり形状が異なり外見はもはや別の機体と思えるほどなのが英国面丸出しなところだ。本稿ではイギリス・ロンドンのRAF博物館に完全な状態で展示されていた「Mk. IV」について紹介する。
基本情報
用途:軽爆撃機
開発メーカー:ブリストル
初飛行:1935年(Mk.I)
生産数:47機
全長:12.98 m
翼幅:17.17 m
全高:2.99m
展示場所:コスフォード・Royal Air Force Museum Midlands
https://www.rafmuseum.org.uk/research/collections/bristol-blenheim-iv/
展示機体備考:Serial No. L8756
イギリス・コスフォード展示機体
空軍博物館の中では比較的人気のない、別館ハンガーにてひっそり展示されているのがこのMk. IVとなる。平置き機体なので上面の観察をすることが出来ないのが少し残念だが、保存状態はなかなかで綺麗に塗装された機体を確認することができる。
なお、上記画像の通り機首が非対称で右側が若干凹んでいたりと安定して英国らしい機体となっている。
機体上面はイギリス空軍の典型的な「ダークグリーン」と「ダークアース」の迷彩がくっきりと塗装されており、底面はクリーム色となっている。
中型機らしいエンジンは、ブリストル マーキュリー Mk. 15 空冷9気筒の995馬力エンジン。主翼内に燃料タンクが内蔵される改修が行われている。
最大の特徴は何と言っても機首の大幅な改修。どこからどう見てもコックピットに見えるこの部分は、航法士兼爆撃手が座る。パイロットは一段上の位置にあるコックピットに座っている。
機体はしかも非対称となっていて、機体側から見て右側に航法士兼爆撃手が搭乗。なので左側上部は操縦席からの視界確保のため凹んでいる。また非常に地味ながら足元にものぞき窓が付いている。
軽爆撃機ということで、展示機体も一応爆弾が装備された状態で展示されていた。
妙にクリーンなクリーム色塗装のせいか、かなり大人しい雰囲気の不思議な魅力を持った機体だ。そもそも高速旅客機として開発された事もあり、時代が時代だったらリゾート地を飛ぶ機体となっていたのかもしれない。
機種としては、WW2緒戦から参加し、ドイツでの偵察や夜間爆撃でも使用された。その後欧州では1942年頃、アジア戦線では1943年頃まで使用されたという。
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