NASAの強力なアンバサダー
※本記事はリマスター版です
突然だが、宇宙大好き諸兄は「NASA」と「エルモ」の関係について考えた事はあるだろうか。筆者は長年この不可解な関係に首を傾げ続けていた。今回、ついにその関係についてメスを入れるときが来た、そう直感したのである。
エルモとは
NASAはともかくとして、エルモについてまずは考えてみたい。
「エルモ」 とはエルモである、というのが模範的な解答ではあると思うのだが、一応補足的に説明しておくと米国の人気番組『セサミストリート』に登場する主要キャラクターのモンスターである。体が赤い、いたずら好きな3歳半である。
このエルモだが、NASAの子供向けページ『kids club』に度々登場している。
もとよりエルモ、NASAだけでなくホワイトハウスにも登場頻度が高く、米国政府とかなり深い関係であるのは周知の事実だった。
しかし、エルモはNASA TVのライブ打ち上げ中継にも度々登場している。
リアルタイムで出ることはあまりないが、トップ画像のデルタ4ヘビーのテストローンチにも宣伝部隊として出動。その他、過去のスペースシャトル時代にはかなりの頻度で出現していたようだ。いずれも、Youtubeでのライブ中継が活発になる前のNASA TV全盛期の話である。
NASAのPR戦略におけるエルモ
「セサミストリート」は「セサミワークショップ」というNPOによって運営されている。
設立は1968年と非常に長い歴史を持つ団体で、児童教育に関しては全米でも屈指の団体と言えるだろう。そして何よりも一貫した「セサミストリート」のコンテンツ制作で、米国内でのIPとしての認知度は極めて高いと言える。2023年現在のYouTube登録者数は2300万人以上と、数字的に見ても圧倒的なものがある。
そしてセグメントとしては小学生くらいまでの児童ということで、まさにアメリカの子供ならば必ず一度は目にするコンテンツとなっている。YouTubeアカウントでは常にライブ配信をしており、子供をあやす為に日常的に視聴させている親も多いことだろう。
親子で視聴される可能性が非常に高いセサミストリートは、PRイメージを常に一定水準以上に保つ必要があるNASAにとっては非常に相性が良かったのかもしれない。また、セサミストリートとしても「世界中の子供たちが賢く」なることをミッションに掲げているため、科学的素養を子供に提供するパートナーとしてNASAは最適だ。
現在はあまりNASAとのコラボレーションはなされていないようだが、かなり長い期間、様々なコラボレーションが実施されたことを考えると、宇宙開発PRにおける成功事例として研究する価値は十分にありそうだ。
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