第2次世界大戦最強の戦闘機
第2次世界大戦最強の戦闘機については諸説あるが、そもそも何をもって最強というのか、から始めなければならない。しかしながら、多くの博物館においては概ねP-51マスタングが「第2次世界大戦で最も成功した戦闘機」であるという旨の表現をしており、実際あらゆる性能が最高クラスだった事は間違いない。対抗馬に挙げられがちなMe262であるが、「最も先進的な戦闘機」という表現に留まっているのは両機体を保有するRAF博物館の意である。なので、事実上この機体がWW2最強と言っても過言ではないだろう。
基本情報
用途:戦闘機
開発メーカー:ノースアメリカン
初飛行:1978年
生産数:16,766機
全長:10.15 m
翼幅:11.28 m
全高:4.18 m
展示場所:シアトル・Museum of Flight
https://www.museumofflight.org/Exhibits-and-Events/Aircraft/north-american-p-51d-mustang
イギリス・RAF博物館ロンドン・ハンガー5
https://www.rafmuseum.org.uk/research/collections/north-american-p-51d-mustang/
展示機体備考:
P51D:シアトル・Museum of Flight 展示機体
ノースアメリカン製のこの機体は間違いなくアメリカ人の精神的名機であり、実際現在も100機以上が世界中で稼働状態にある。生産数も多かったので、今日でもプロペラ戦闘機というとこの機体を容易に思い浮かべることが出来るし飛んでいる姿も比較的簡単に見ることが出来る。
ただ後述する通り、その出自はアメリカというよりもイギリスの思いが強く作用している。
WW2開戦後、英国は米国に対し低高度戦闘機の緊急要求を行った。これに対しアメリカはわずか120日で設計・製造を行い試作機であるNA-73Xが誕生した。アメリカでは実績のあるアリソンV-1710エンジンに、カーチス・エアクラフト社による先行研究を基にした革新的な冷却システムを組み合わせ、空気抵抗を減らして速度を上げる層流翼を採用した点がポイントである。その後アメリカ陸軍航空隊は、すぐに独自のアリソンエンジン搭載型とA-36アパッチと呼ばれる急降下爆撃型の取得を開始した。
しかし、エンジンをイギリス製のマーリンエンジンに変更したP51Bから性能が劇的に向上し、イギリスからベルリンまで往復、爆撃機の護衛が可能となった。さらに最も有名なD型では、バブルトップ・キャノピーと合計6門の50口径機関銃を装備。太平洋戦争では、P-51Dは東京上空を超長距離爆撃するB-29を護衛、機銃掃射などの対地戦闘も行っている。
P51D”Donald Duck”: イギリスRAF博物館ロンドン展示機体
イギリス的には、もともとイギリスの要求から発生した機体計画であったこともあり自国の戦闘機のように重視されている側面が垣間見える。また、実質的にロールスロイスのマーリンエンジンを搭載されたP51が真のP51とも言われる事もあり、イギリスにとっても特に思い入れが深い戦闘機であることは言うまでもない。
アメリカの機体製造技術とイギリスの最高のエンジンが融合した結果、というわけだ。
マスタングの登場で、イギリスからアメリカの爆撃機がドーバー海峡を渡ってベルリンまで安全に飛行士、ベルリンを袋叩きにした後戻ってくることが可能となった。間接的に、マスタングの登場がナチスの息の根を完全に止めることに貢献していた訳である。
RAF博物館所蔵のP51Dは機首にデカデカとドナルドダックの絵が描かれている。
ピカピカに磨き上げられた機体に、全く色褪せていないドナルドダックのペイントはどこか新鮮だ。
全体的に、シアトルの機体より状態が良い。また、2階から見下ろすことも出来るので機体全体を十分に見学することが可能。
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