コロナ前年の岩国の姿
コロナパンデミックももはやポスト時代に突入した空気を感じる昨今。
国内旅行に関してもそろそろ遠出するか、と言った感も湧き上がる頃なのだが
「観光ってどんな感じでやっていたっけ」
とリハビリ的に過去を振り返って見たくなった。そこでまず頭に浮かんだのが、
■山口県岩国
上記の記事にて既に夜の部は振り返り済みだったりするが、半日旅行で周辺を回った際の様子をここに記したいと思う。
岩国駅周辺
岩国は静かな街だ。どこにでもあるような地方都市で、新幹線は止まらないけど何本か路線が通っている。駅自体は新し目で、しっかりとロータリーが整備されている。こちらは2019年当時の岩国駅東口の様子だ。このタイミングではまだ単管フェンスなどもあったが、2020年には駅周辺の工事は完了したとのこと。そういう意味では、ノスタルジックな地方都市感もあまり感じさせない。
訪れたのは11月初旬。駅近隣エリアでは道沿いに紙垂なのか形代?のような和紙が吊り下げられたロープが沢山設置してあり、人通りも少なかったことからやや神秘的な情景となっていた。そこそこ色々な場所を訪れた事はあるが、ここまで神社系?の装飾が街中に施されているケースはほとんど無い。
駅から少し歩くとやらたと広い空き地が目立つ。空き地では雑草が生い茂り、道沿いに名も知らぬ花が咲き誇っていた。
岩国の湾岸部分には日本製紙のコンビナート群があるため、山陽本線からの支線もあったりするが、もはや使われていない模様。このへんは古びたままである。
多少徒歩で探索してみたが、鄙びた風景以外は特に見るべきものが見つからたなかったため、錦帯橋の観光エリアへ向かうことに。
錦帯橋へ
岩国から錦帯橋へのアクセスは容易だ。駅前のバス停からバスに乗り15分程度で錦帯橋が目の前にあるバス停に到着する。こじんまりとした土産物屋や茶屋が数件軒を連ねる。
そして目の前には、錦帯橋。
錦帯橋は国指定の名勝であり、日本を代表する木造橋です。
岩国市公式HPより
延宝元(1673)年、岩国3代藩主の吉川広嘉(きっかわひろよし)が現在の橋の原型となる木造橋を架けましたが、錦川の洪水によりすぐに流失しました。
しかし、改良を加えて翌延宝2(1674)年に再建された橋は、昭和25(1950)年9月の台風29号(キジア台風)による洪水で流失するまでの276年間威容を保ちました。
流失後、市民の強い要望により、昭和28(1953)年に再度、木の橋として再建されました。
橋の長さは、橋面に沿って210メートル、直線で 193.3メートル、幅は5メートル、橋台の高さは6.6メートル。
巻きガネとカスガイを使った「木組みの技法」で造られています。
反り橋の構造は精巧かつ独創的で、現代の橋梁工学からみても非の打ちどころがないと言われています。春は桜、夏は鵜飼いや花火の夜景、秋は城山の自然林の紅葉、冬は雪化粧と、「錦」の名の通り、四季折々の色彩豊かな景観が楽しめます。
夕方に差し掛かったタイミングでの訪問だったが、まだまだ観光客が多く訪れていたのが印象的だ。
砂利が敷かれた河川敷には駐車場があり、多数の屋台も出ていた。こうして見ても、山と川がかなり近く自然の中にあることが分かる。
ちなみに橋を渡るには通行料を取られる。現時点だと往復で310円とのこと。渋谷池袋往復くらいの金額と考えれば安い。橋自体は完全にこれ木だな、はっきり感じられるほどに木。アーチ状なので、結構歩き辛い。
橋から眺めた錦川の図。流れの穏やかな川に、山。人こそそこそこ多いが、なんとも静かな場所だ。
吉香公園
なお橋を渡った先には江戸時代のお殿様の住居跡のかなり大きめの「吉香公園」 (きっこうこうえん) があり(年中無休、入場無料)割りと楽しめる展示が多い。
錦川では鵜飼いが盛んとのことで、鵜を飼育している小屋を間近で見ることができる。川沿いにも鵜飼い関連の施設があり、漁の時期は鵜飼いを実際に見ることが出来るのだとか。大人しそうに整然と並んでいるが、これ全部生きてます。
その他にも公園賑わせ展示としてなのか、地味に木炭自動車が置いてあったり。
山の上(かつての城跡)に向かうロープウェイもあったりと、全部しっかりと廻ろうとすると一日は確実にかかるような充実っぷりの公園だった。
もちろん、その本体は純然たる日本庭園と江戸時代の日本家屋などの建築。11月ということで中秋の紅葉を静かに鑑賞することが出来る。
このときは一眼カメラを持ってきていなかった事が悔やまれるが、かなり広いので写真撮影は非常に楽しめるだろう。とにかく人が少ないのが(広すぎる上にファミリー向けでないから?)良い。
なかなか目を向けられることも少なくなったような灯籠と塀。
忘れ去られたような東屋。
水路や池が多く、かつては栄えていた事を偲ばせる。
池には立派な鯉が。
このiPhoneで撮影した画像に、この公園の全てが表されていると言っても過言ではないのだが、お分かり頂けるだろうか。山肌には秋口の深い緑、お堀の静かな水面と人気のない薄暮な空気感。何もせずにぼーっとしているだけで満たされる感じがする場所だ。
ちなみに、公園自体は結構整備されており割りと様々な小道や裏道を行ったり来たりすることができる。そういう意味では、歩きやすい靴が必須だろう。
駅は新しくとも、街時代はまだまだ昭和以前の空気を色濃く感じる岩国。点在する史跡的な要素が多いのも(残されたままなのも)特徴的だ。
一通り公園を見て回ったので、橋に戻ってきた。空はすっかり夕暮れ時に。観光客は減るどころか、夕焼けと橋を撮影する人で増えているようにも感じた。
曇ってはいたが、それはそれでいい感じの空色になる。なんともドリーミーな光景だ。
iPhone Xの限界に挑戦しようと、頑張って撮影を試みる。
あれよあれよと言う間に日は落ち、空は紅蓮色に染まる。錦川も赤くなり、間にある山と錦帯橋が印象的に浮き上がる。
このあと日が沈みきるのを見届け、錦帯橋を後にした。夕方手前から橋を渡って正解だったかもしれない。人気の少ない、なんとも不思議な体験をした公園と橋だった。ちょっとした茶屋や食事処もあったのだが、時間が微妙だったのでどこにも訪れなかったのが心残りだった。周辺にはホテルや旅館も多そうだったので、次に訪れる際には是非もう少しじっくりと滞在してみたいと考えた所存である。
米軍基地がある岩国のハンバーガー
とは言えやはり腹が減ったので、米軍基地がある街ならハンバーガーは確実に旨いだろうとの勝手な予測から、店を探し出して言ってみた。
横須賀のTSUNAMI、福生のデモデダイナーとくれば岩国はここ、「グランドチーフ」だ。
バイクの駐車スペースも十分にあるので、いい感じに立ち寄れる。是非、米軍基地徘徊ツアーのついでに寄ってみてほしい。
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